上の画像は、1955年の日本製。ブリキのスクーターのおもちゃです。
60年以上前のものにしては美しいですが、やはりところどころ錆が出て、色もくすんできています。これはブリキのおもちゃの宿命かもしれません。
●ブリキは鉄なので錆びます
ブリキとは、鉄板に錫でめっきをほどこしたもののこと。
ステンレスのような特殊な合金ではなく、中身はただの鉄です。
鉄のもののでは腐食に弱いですが、水分に強いスズでメッキすれば用途が広がります。こうして作られたブリキは、主に水分を使うものに使われました。カンヅメ、バケツ、湯たんぽ、じょうろ、そしておもちゃです。
ただし、ブリキの素地は鉄板ですから、めっきが剥げればそこから鉄が酸化して錆が発生します。錆は、鉄が酸化する現象なので、表面が剥離することによってどんどん進行します。
ブリキのおもちゃは可動するものも多いので、パーツの接する部分などから錆が出てきます。そうなるとおもちゃとして機能しなくなる可能性もあります。錆は食い止めましょう。
●変色するのは塗料のせいだが、味でもある
昔の塗料には鉛が多く含まれているので、これが経年による変色の原因となります。
いかに大切に扱っていても、何となく全体に黄色がかかったようにくすんでくるのはこのためです。
古いブリキのおもちゃの場合は、それこそが味だとするコレクターも多くいます。変色は、そのままの姿を楽しむものと考えましょう。
予防法は簡単。
まずは「錫の剥がれ」を防ぐこと。落としたりぶつけたりしないことです。
次に、「水分と酸素」を遮断すること。
ケースや戸棚に飾って保存する場合は、脱酸素剤や乾燥剤を入れましょう。
または、錆止め塗料も有効です。
●錆止め塗料を塗る
錆止め塗料は、錆の発生を防ぐもの、進行を止めるものの二種類があります。
錆の発生を防ぐタイプは、表面に塗膜を作って空気を遮断するという理屈です。
DIY用、自転車用、バイク・自動車用として販売されている、このようなクリアコートを使用します。
錆が出そうなところにあらかじめ吹き付けておくと錆を防げます。
写真は樹脂ベースのものですが、フッ素を使用したクリア塗装タイプもあります。フッ素塗料だと、汚れの付着を防ぐ効果もあります。
ただし、塗装してしまうということは当時のままの仕様ではなくなります。「当時のままの姿」を残すための作業なので、どちらを取るかは持ち主の考え方次第です。
売買という意味では、クリア塗装をするとやはり手が加わっているということで査定額に影響が出る場合があります。
いかにも塗りましたという質感なのか、自然に薄く塗装できているかという見た目も大事です。
塗料は塗った後の質感がものによって違うので、どんな透明度か、どんな光沢なのかをあらかじめ別のものを塗ってテストすると良いでしょう。
既既に発生している錆の進行を食い止めるためには、まず錆を落とす必要があります。 錆が残ったまま上から錆止めをしても、中の錆は進行してしまうからです。 錆を落とす過程で、ある程度は塗装に傷が入ることを覚悟する必要があります。
錆を落とすためには、紙やすりで擦るというのが一般的でした。できるだけ被害を小さくするために細い棒に紙やすりを巻き付けて擦るのですが、どうしても手作業なので余計なところまで削れてしまいます。そこでおすすめなのがこれです!
ソフト99の「サビ落とし&再発防止」です(Amazonにて1,030円 2019年6月時点)。
これは、錆に反応する薬剤を塗って錆だけを科学的に溶かすサビ落とし剤と、コーティング剤の2液セット。サビ落とし剤を塗って放置し、錆が浮いたらウエスでこすり取ります。すると、錆だけが綺麗に取れます。むき出しの鉄はまたすぐに錆びてしまうので、そこに透明のコーティング材を塗布します。
錆びていた部分の塗料がなくなってところどころ銀色がむき出しになってしまいますが、必要以上に元の塗料を失うことがありませんし、錆の進行は止まります。おすすめです。
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