明確な定義、国際規格のようなものはないのですが、一般的には次のように言われています。
●アンティーク……100年以上前のもの
アンティークが100年を境にするのは、1934年に制定されたアメリカの通商関税法に基づいています。それによると、関税を免除する製品に「製造された時点から100年を経過した手工芸品・工芸品・美術品」という一文があります。
ここから、100年を堺に製品の付加価値が変わるという認識ができたようです。
関税は、関を通過するための料金です。アメリカと日本の間で商取引をすると、関税が課せられます。たとえばアメリカの通販サイトで買いものをした場合、個人であっても品物の合計金額が1万円以上なら、金額に応じた税額を納税しなければいけません。
少額なら実際はスルーされることも多いのですが、突然税関から連絡がくることがあります。その際、品物が100年前に製造されたことが証明できれば、関税は免除されます。
アンティーク品の本場であるヨーロッパには、アンティークの定義がありませんでした。そこで、WTO(世界貿易機関)はアメリカ関税法のこの定義を採用しました。
WTOの加盟国は2019年時点で164で(「欧州連合」なども含む数え方ですが)日本も参加しています。
WTOが定義づけたことから、アンティーク=100年以上前の製品という認識が国際的なものに変わりました。
ヴィンテージには、定義の根拠となるような指標がありません。しかし、業界的には以下のように考えることが多いです。
●ヴィンテージ……20年から30年以上前のもの
単純に慣例としか言いようがありませんが、表現が曖昧だと騙された!ってことになりかねないので、中古品を取り扱う業者は独自にルールを設けている場合があります。
たとえば、アメリカのeBayはvintageカテゴリに出品しようとすると、次に「1980s、1970s、1960s……というように年代カテゴリも選ぶ仕様になっています。
年代不明ならヴィンテージと謳うことができないわけで、こうしてちょっとでも購入者に確かな情報を提供しようとしているわけです。
Etsy(アメリカのハンドメイドマーケット)では、ヴィンテージを「20年以上前のもの」と定義しています。
それらと比べると日本の個人取引サイトは定義があいまいで、ヤフオク!もメルカリもアンティークカテゴリはあるのに、利用規約にアンティークの定義はされていません。
日本においては、結局感覚的な話です。
はっきり言えば、品物の価値は何年に作られたかどうかだけで決まるものではありません。歴史的価値、希少性、デザイン・芸術性など、さまざまな観点で値が付けられます。
また、ただ古いからといって単純に歴史を感じられるわけではありません。その時代特有の特徴が現れてこそ歴史を感じられると言えます。そのため、次のように芸術様式を堺にアンティークを定義することがあります。
●アール・デコ(1910年頃〜1930年代)以前のもの
●アール・ヌーヴォー(19世紀末〜20世紀初頭)以前のもの
アール・デコもアール・ヌーヴォーも100年以内の様式なので、アメリカ関税法によるアンティークの定義にはあてはまりません。
しかし、このふたつは年代的な特徴がわかりやすいので、骨董を扱うお店によってはアール・デコもアール・ヌーヴォーもアンティークとして表記しています。
アール・デコもアール・ヌーヴォーも人気の高い様式なので、リバイバルしていますし、模倣品も多く作られています。単純に様式がそうだからといってアンティークではないものが含まれるのは要注意です。
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