キューピーが天使のキューピッドをモチーフにしたものであることは察しがつくと思います。
キューピッドというのはローマ神話に出てくる愛の神様です。
昔の絵画にはよく出てきますよね。
羽の生えた全裸の男児で、弓矢を持ち、時に目隠しをした姿。女性の体にまとわりついたりして官能を暗示し、人ではないものの怪しさもあります。
このキューピッドが何となくキャラクター化したわけではなく、「キューピー」にしたれっきとした作者がいます。
アメリカのイラストレーター、ローズ・オニールです。1903年、ローズ・オニールは雑誌『コスモポリタン』に掲載するためのイラストとしてキューピーのデザインを考案しました。
羽根はほんの小さく、髪はほんのちょっぴり、ひらいた手のひら、そして、ほとんど人間の赤ちゃんのような等身と愛らしさに。
なお、キューピッドは男児ですが、キューピーは性別不明です。
何度か掲載するうちに、これが大ヒット。反響が大きかったため、お人形が誕生することになったのだとか。
ドイツの人形メーカーがキューピーを売り出すと、瞬く間に世界的なヒットキャラクターになっていきます。昭和生まれの方なら、実家にキューピーがあったという方は多いのではないでしょうか。
●できるだけ古くて「起源」に近いもの
最初のキューピー人形が試作されたのは1912年。
意匠特許が登録されたのが1913年です。
ローズ・オニールはキューピーのイラストの人気が高いので、自らキューピーの彫刻を作っています。それを見たドイツの人形メーカーから声がかかって人形制作がスタートしました。最初の立体キューピーは「ALL-BISQUE KEWPIE」と呼ばれています。これはコレクター本にも掲載されているので、割と有名。高値で取引されています。
●国産の場合は、戦前のセルロイド製
セルロイドは劣化が激しい素材なので、戦前からの品物でなおかつ状態のよいものは貴重です。
キューピーのような子どものおもちゃは、扱いによっては凹んだり傷が付いたりしているものですから、箱入りや、新品といったものはそれだけで希少性があります。
●デザインが優れている変わり種
直立してお腹を突き出し、手を開いている姿がキューピーのお決まりのポーズですが、中には変わったポーズのキューピーもあります。
寝転がってダラダラしているようなの、ドレスや靴を身につけているゴージャスなの、看護婦さん姿のものなど。
個人の作家が作ったようなものでも、完成度が高いものは比較的よい値で取引されています。
マヨネーズのキユーピー株式会社だけでなく、キューピーをモチーフにした商品を出している会社は多いです。ローズ・オニールが亡くなったのは1944年で、アメリカの著作権法では作者の死後50年間しか著作権が保護されないので、1994年に著作権が切れていることになります。
キューピーの著作権や商標権については過去に裁判になったこともあるのですが、現在、キューピーの著作権は失効したものとされていて、誰がどんなキューピーを作っても合法です。
ご当地キューピーがお土産物屋さんに売られているのは、そのためです。
こんなにたくさん溢れているキューピージャンルを闇雲に集めるなんて将来性がないのでは?と思うかもしれませんが、おもちゃの博物館館長の北原照久さんもこう言っています。人気キャラクターのグッズは簡単に手に入るがゆえに、コレクションを諦める人が多い。最初こそライバルが多くても、やがて減っていく。「ライバルが減った時に粘った人が、幸運を手にするのです」と。
これはという気に入ったキューピーがあれば、元はノベルティ商品でも大事にされるといいと思いますよ!
大事な
お知らせ
査定をご希望のお客様はご一読ください